シニアカーとは

シニアカー(電動カート)

ハンドルの付いた電動車いすで、1980年代半ばに発売され、累計販売台数は約50万台。ハンドルを操作し、歩くぐらいの速さで移動する乗り物です。足腰が弱くなり、徒歩での外出が難しくなった高齢者に人気があります。

ハンドル型電動車いすとも呼ばれ、自転車やバイクと似た感覚で使用できるのも特徴です。一般的な車いすよりも前輪が大きくて太いため、でこぼこ道なども通行しやすく、近場への外出に向いています。

どんな人向け?

国内シェアトップのスズキによると、「近年は高齢者が車の代わりに、自転車やバイクより安定性が高い乗り物として購入する例が増えた」そうです。同社のアンケートでは、利用者900人のうち、3人に1人が購入理由に「車の運転免許を返したため」と答えています。利用者は70代が21.5%、80代以上が74.3%となっています。利用目的は、「買い物」が67.6%で最も多く、「散歩」「病院に行く」が40%前後で続いています。なお利用者の35.2%が「毎日乗る」と答えています。

介護保険の福祉用具貸与対象商品で、要介護認定を受けていれば、1割負担でのレンタルでの利用も可能です。(月々1500~2500円程度)最近は、自分専用のものを購入したいという方がたくさんいらっしゃいます。運転免許を返納し、電車や自転車などで移動している人が、足が弱った時に備えて操作しやすいタイプを探している方が多いようです。

こんな方におススメ

  • 病気や怪我、体力の衰えなどで自動車、自転車、バイクの運転が怖くて乗れなくなった
  • 運転免許証を返納して移動手段に困っている
  • 長距離を歩くのが難しくなって外出が億劫に
  • 家族の助けを借りずに、一人で外出できるようになりたい

運転免許証もナンバープレートも不要

シニアカートは歩行者扱いとなるため、運転免許はいりません。道路交通法上では歩道を通行し、歩行者用の信号に従わなければなりません。歩道のない場所では原則、道路の右側を通行します。ナンバープレートをつける必要もありません。

スペック

最高速度は時速6キロ。かつては3輪タイプが中心でしたが、最近は4輪タイプが主流となっています。自宅のコンセントで充電でき、1回の充電で20~30キロ程度の走行ができます。

操作方法

操作は非常に簡単です。電源スイッチを入れ、ハンドルに付いているレバーを押すと前進し、手を離せば停車します。誤ってレバーを強く押してしまったときのために、急停止機能が付いています。

基本的な機能は各メーカーとも共通ですが、細かな点で各社ごとにさまざまな特徴があります。

価格

値段は30万~40万円するものが多いです。

どこで買えるの?

オートバイや農機具などのメーカーが製造し、福祉用具店などで取り扱っています。電動車いす安全普及協会(浜松市)によると、年間約1万4000台が出荷されているそうです。また、インターネット上でも販売されています。

シニアカーの事故

電動車いすを使用中の人身事故は昨年、179件発生し、7人が亡くなっています。

道路を横断中に事故に遭うケースが多く、渡ろうとしたが、思ったほど速度が出ず、渡りきれなかったケースも少なくないといいます。川や道路脇の工事中の穴に転落する事故や、道路脇の溝への脱輪も報告されています。

乗り始めの頃は車体の大きさの感覚がつかめないことも原因の一つです。

シニアカーの問題点

  • 移動速度が時速2~6キロと遅い(長時間、長距離の移動には向かない)
  • 長時間アクセルレバーを押し続けるのは、手が疲れる
  • バッテリーがすぐに切れるため、走行距離が短い
  • 原付とは異なって道路交通法では電動車椅子に分類され、歩行者扱いなため、信号を渡るとき、歩いている人を追い越す時など注意が必要
    (原付と違って、自分の座っているところに比べ後ろの幅が広い感覚がなかなかつかめない、内輪差等)
  • スーパーなどの施設内の利用は断られることが多い
    (JRなどの公機関は事前に許可をとれば乗り入れ可能なところもある)
  • 重量があるために公共交通機関によっては利用を断られる
  • 電動3・4輪車は自動車から見えにくく危険
  • 段差を乗り越えられなかったときにシニアカーごと転倒して自分では起こすことができないことがある

シニアカーに望ましい機能

  • 坂道でもブレーキがきちんと作動する
  • アクセルレバーを押し続けても疲れにくい
  • バッテリーが長め(走行距離が長い)
  • 座らないとアクセルレバーを操作しても走り出さない安全機構
  • アクセルレバーの誤操作による危険防止の緊急停止機構
  • クラッチを切ったときの制動機構

乗る際の注意点

不慣れなうちは路肩に寄りすぎて側溝にはまる恐れがあります。慣れるまでは介助者を連れて、時速2~4キロでの運転を心がけ、公道を走る前に自宅周辺などの安全な場所で練習するようにしましょう。メーカーや地域の交通安全協会が開く講習会に参加したりして運転技術を身につけるのもいいでしょう。

充電が切れると出先で立ち往生してしまいます。利用前には必ずバッテリーの残量を確認しておきましょう。

狭い道で歩行者とすれ違う時は、減速や一時停止を心がけましょう。横断歩道を渡る際は、左右を十分確認し、車が見えたら渡らない。踏切では、途中で遮断機が下りる場合に備え、家族ら介助者と一緒に渡るようにしましょう。

シニアカーを利用する際の注意点まとめ

運転前

  • 公道でスムーズな操作ができるよう、事前に練習する
  • 外出前にバッテリーの残量を常に確認。遠出の際はフル充電に(充電切れによる停止を防ぐ)
  • バッテリーはおおむね2~3年で交換
  • 対人・対物損害賠償保険への加入義務が無い(事故が起これば高額の損害賠償)
  • 年1回は販売店で定期点検を

運転時

  • シニアカーは自動車などから見えにくいということを自覚する
  • 歩道では加害者になる可能性もあるので十分注意して運転する
  • アクセルレバーはなるべく片手で操作する
  • 道路を渡る際は横断歩道を渡り、斜め横断はしない
  • 急坂や大きな段差、溝のある場所は避ける
  • 下り坂では慎重な操作を心がける
  • 手押しでの下り坂走行はダメ
    (自動ブレーキ(電磁ブレーキ)がかからないので、絶対にしてはいけません。)
  • 夕方は日没前でもライトを点灯
  • 尾灯の無い機種もある為、夜間の使用には注意
  • 走行中は携帯電話や無線通信機器などを使用しない
    (安全な場所に停止し、シニアカーの電源を切ってから使用するようにしましょう。)
  • もし出先で停止してしまったときは、電話で家族に連絡を
  • 帰宅したらすぐに充電をする習慣をつける

置き場所

  • 「どこに置いておくか」を考えてから導入を検討する
    (屋外だと雨風やいたずら、盗難の恐れがある)
  • 病院・買い物先などでの置き場所を確認する
  • マンションなどでは、自転車置き場、玄関前の廊下などに置けるか管理者に確認する

歩くのがおっくうなシニアが外出のきっかけに

シニアカーは引きこもりがちな高齢者の足となり、外出を促すきっかけにもなっています。買い物や交流サロンなど近所への外出に使っているお年寄りの方も多いとか。免許証を返納して車が運転できなくなったドライバーの生きがいづくりに一役買っています。

おすすめのシニアカー

「ET4D」「スズキ」(浜松市)(36万8千円)

坂道にさしかかると「急な坂道です」などと音声で注意してくれます。スズキの販売台数は年間約7千台で、そのうち半数は、車の運転免許証を返納したシニアが購入しているそうです。また購入者の7割は買い物の足として利用していらっしゃいます。

車体の前方に25リットルの大容量のかごを装備しているのも大きな特徴です。1人暮らしの高齢者が増えたことを受けて、「買い出しで一度により多くの荷物を積める」ように設計されました。

「電動カート モンパルML200」「本田技研工業」(東京都港区)(37万8千円)

デザイン性を重視した設計です。車体の幅が約60センチと他のメーカーのシニアカーよりもスリムで若々しい印象を与えます。

「アクシア」「テラモーターズ」(渋谷区)(28万9900円)

価格を抑えながら1回の充電で40キロの連続走行ができるのが特徴です。「テラモーターズ」は主に電動バイクを製造している会社です。

充電不要!燃料電池搭載電動車いす

京都大学と医療福祉機器メーカー「キシ・エンジニアリング(島根県出雲市)」などが「燃料電池搭載電動車いす」を産学連携で共同開発しました。

水と反応して水素を発生する「個体水素源」を活用した燃料電池を搭載しており、現在普及している電動車いすのように充電する必要がありません。個体水素源のカートリッジを1週間に1回程度交換するだけです。水とカートリッジさえあれば、災害時の非常用電源としても応用できるそうです。

商品化の時期や値段についてはまだ分かりませんが、実現すれば充電不要の電動車いすとして重宝されそうです。